Selamat siang.

ジャカルタ在住の日本人Tinggiです。

インドネシアの大学に勤めていて在住7年目に突入しました。

ところで、

2019年4月、ジョコ・ウィドド大統領は、インドネシアの首都をジャカルタからジャワ島外へ移転する計画を発表しましたよね。

インドネシアの首都移転問題は、スカルノ大統領のときから議論されているもののいまだ実現されていない長年の政治課題です。

また「やるやる」詐欺で終わってしまうのか、それとも今度こそ首都移転が実現するのか…..

というわけで今回は、

インドネシアの首都移転先はカリマンタンなのか、ジャカルタから首都移転する理由と移転候補地について詳しく見ていきます!

ジャカルタからなぜ、首都移転する理由

ジョコウィ大統領が首都移転計画の実行を発表しましたが、インドネシアの首都移転計画は1950年代にはすでに持ち上がっていた話しです。

つまり、

ジャカルタから首都を移転すべき理由は、それほど前から存在していたというわけです。

いったい、

莫大な資金を投じてまでジャカルタから首都を移転しなければならない理由とは何なのでしょうか?

くわしく見ていきましょう。

ジャカルタの渋滞は世界一!

古くから港湾都市として栄えてきたジャカルタは、1619年オランダ東インド会社統治時代のころ、バタヴィアと呼ばれるようになりました。

それ以来、宗主国オランダの手により都市化が進められてきました。

しかしながら、当時のオランダは植民地経営に不慣れで、街づくりではメインストリートを整備しただけで伝統的ロータリーや生活道路はそのままの杜撰な都市設計で、現在のジャカルタの渋滞の原因はここらへんにあります。

さらに、

バイクや自動車の急増、これまでのジャカルタの道路整備の遅れがジャカルタの慢性的な渋滞の一因です。

オランダ時代の区画そのままにビル、アパートメントが乱立しているので、渋滞は起こるべくして起こるというわけです。

この状態でMRTなど公共交通網をいくら整備したところで、人口1000万人を超える巨大都市ジャカルタの交通事情には「焼け石に水」といえるでしょう。

在住日本人の間では、

「今日は1㎞先に行くのにUターンや迂回の連続で、1時間以上かかったよ~」

なんて会話はよくありジャカルタアルアルです。

ジャカルタの渋滞は世界一レベルだといわれますが、個人的には日々納得ですね。

雨が降れば洪水(banjir)

ジャカルタの雨期名物バンジール(インドネシア語で洪水)は、排水設備や下水道の未整備が原因で起きる雨期のジャカルタの風物詩です。

しかし、

さらに問題なのは地盤沈下です。

沖積平野上にあるジャカルタの街はもともと海抜が低く、海岸に面した北部ジャカルタのアンチョールやタンジュンプリオクでは雨が降らなくても、大潮の影響を受けてよく浸水します。

洪水が原因のジャカルタ北部エリアの衛生状態の悪さは今も昔もかわりません。

かつてバタヴィアと呼ばれたコタ地区はオランダ統治時代はジャカルタの中心でしたが、現在は旧市街となり開発から取り残されたエリアとなっています。

現在のジャカルタの政治の中心はガンビルで、経済の中心は年々さらに南下してスナヤンエリアなどに移ってきるので..

このような現状で、コタ周辺の国鉄遊休地の再開発がなかなか進まない原因は政治的なシガラミにあるのではともウワサされています。

なので、

「浸水対策をするよりも、首都移転して過密状態を解消したほうが手っ取り早いんじゃね….」とジョコウィドド大統領は考えているのかもしれませんね。

過密都市ジャカルタの問題

近年、

ジャカルタ近郊には

  • ボゴール
  • デポック
  • タンゲラン
  • ブカシ

などの衛星都市があります。

そこから人々は毎日ジャカルタに通勤しています。

なかでも最も人口の多いボゴールは、ジャカルタ市内から約50㎞ほどで都心にでるのに1時間以上かかります。

この世界有数の都市圏(ジャボデタベック)の人口は3000万人を超え、東京首都圏と同じくらいの規模です。

ちなみに、ジャカルタ特別州と東京都は姉妹友好都市提携を結んでいます。

また、ジャカルタは人口密度でもいつも世界トップ10にランク入りしている過密都市でもあります。

そのようななか、

都心と郊外を結ぶ通勤鉄道の改良、バスウェイの整備、MRTの開業で通勤環境はすこしづつ改善してされてはいるものの、最近問題になっているのが

住居費の高騰

です。

最近では、ジャカルタ市内で持ち家を購入しようとすると1000万円以上します。

なので、

新たにジャカルタ市内でマイホームを持つことは、中間層の一般市民にとって手の届かない夢物語になってきています。

今、ジャカルタのサラリーマンが家を買うなら、ジャボデタベック圏のさらに先のバンテン州まで足を延ばさなければならないでしょう。

数年前までジャングルと田畑しかなかった郊外鉄道の沿線は今、急ピッチで宅地開発が進んでいます。

つまり、

ジャカルタエリアの人口集中はそろそろ限界にきているといえます。

この人口過密状況がジャカルタ首都移転計画の最大の理由だといえます。

ところで首都移転先候補地はどこ?

2019年4月に首都移転計画が閣議決定したとき、ジョコウィ大統領は首都の移転先を明言しませんでした。

現在わかっているのは、

ジャワ島以外の場所

ということだけです。

ただし、交通上のメリットやある程度開発が進んでいることを移転先の前提条件とするなら、パプアやスラウェシは考えられないので、

  • スマトラ
  • カリマンタン

あたりに絞られます。

なお、この点についてですが、2019年6月下旬の現地メディアの関係者への取材で、

カリマンタン

が最有力候補地だと報道されています。

カリマンタン島とは?

カリマンタン島はジャワ島の真北に位置するインドネシア最大の島です。

ジャワ島のおよそ4倍の広さなのに、カリマンタンの人口はインドネシアの総人口のわずか1割よりも少ない人口過疎エリアです。

カリマンタン島の北部は、マレーシアのサバ州やブルネイと接しており、日本人的にはボルネオ島と呼んだ方が馴染みがあるかもしれません。

豊かな土壌にめぐまれ稲作・畑作が盛んなジャワ島とちがい、カリマンタンの土地は木の実を中心とした採集生活や焼き畑農業が続けられています。

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石炭・石油・天然ガス、この他に木材、パーム油等が経済を支えていて、インフラ開発もまだまだで、鉄道や高速道路の整備がようやく始まったばかりです。

初代スカルノ大統領が選んだ街、パランカラヤ

そんなカリマンタン島ですが、現在、首都移転有力候補として挙げられのが、

中部カリマンタンの州都パランカラヤ

です。

日本人にとってまったくなじみのないこの街ですが、初代スカルノ大統領時代に首都移転先候補の一つでした。

人口25万人程度のこの街は、中部カリマンタン州の州都であるものの、主な産業は材木用の森林伐採くらいの田舎町です。

では、なぜ、この街がインドネシア首都移転先候補地として昔から挙げられているのでしょうか?

現地有力紙テンポはこのように伝えています。

  1. 新首都の建設に十分な土地がある。
  2. 火山を擁さず、海にも面していないので地震等、災害リスクが少ない
  3. 多数の川があり、周囲には森林が広がってるため、洪水のリスクも比較的少ない
  4. インドネシア領土のほぼ中央にある
  5. カリマンタンの先住民ダヤック族だけでなく、他地域から移住したジャワ人、スンダ人、マドゥーラ人、バタック人他が既に居住しており、多様性がある

つまり、

ゼロから首都を作ることができて、さらに災害に強い

ということですね。

しかしながら、

高速道路や鉄道が整備されなければパランカラヤは内陸にあるので工業化はあまり望めないでしょう。

ジャカルタからパランカラヤに首都を移転した場合、政治機能に限られると予想されます。

経済の中心は引きつづきジャカルタで、政治的首都は新首都という形になると個人的には思います。

そもそも、

ジャカタでは今まさにMRTなど都市交通網の整備が始まったばかりで、かりに首都機能のすべてを移転するなら二重投資だと批判されるのは自明の理でしょう。

カリマンタン以外の首都移転候補地はどこ?

カリマンタンへの首都移転がほぼ確実になった今、スマトラへの移転の可能性はかなり低くなっています。

スラバヤ、バンドンに次ぐ第四の都市メダン(北スマトラ州都)や、2018年アジア大会の会場にもなったパレンバンあたりが候補となるでしょうか。

いずれも海に面し、産業もある程度発展しているので、政治首都という感じで言うとここではなさそうですが…

インドネシア首都移転の時期はいつごろ?

最新の報道によれば、2021年に首都移転計画着工で、2024年以降段階的に首都機能をジャカルタから新首都に移転する予定です。

しかし、

物事がすすむのが遅いインドネシアで六年間で首都移転ができるのか疑わしいですが、ジャカルタからの首都機能移転は急ピッチで進んでいくと個人的には思っています。

というのも、2024年はジョコウィ大統領の任期切れの年でもあるからです。

かつて、ジャカルタ・バンドン間の高速鉄道を2019年開業と豪語したのと同じ理由でもあり、今回はさらに、ジョコ大統領の任期が2024年まで(インドネシアの大統領在任は最大二期10年まで)だからです。

庶民派大統領のジョコウィ氏は盤石な政治的地盤を持たないこともあり、どうしても任期中のわかりやすい実績にこだわりがちです。

この5年間でも、高速道路、鉄道、空港とインフラ整備を急ピッチで進めてきました。

その集大成が、今回の首都移転になるのかもしれません。

インドネシア国民が尊敬してやまない国家的英雄スカルノ大統領でもできなかった首都移転を実現して歴史に名を刻むこと、それこそジョコウィ氏の最後の政治的願望ではないかと個人的に感じます。

二期目のジョコウィ大統領の政策は?

先日の大統領選で、再び一騎打ちとなったジョコウィ氏と野党プラボウォ氏ですが、ジョコウィ氏は二期目の公約として、「インフラから人へ」を掲げ、特に産業人材の育成をアピールしました。

市民目線の庶民派大統領として、2014年の就任当初は熱烈に国民に支持されていたジョコウィ氏ですが、この5年間の政策と結果に失望した国民も多いのも事実です。

ここで気になるのは、

首都移転を発表したタイミング

です。

大統領選の投票日は4月17日で、すぐにジョコウィ氏が民間調査により優勢と報じられました。

そのタイミングでの首都移転発表です。

正直、裏切られたと思った国民も多いのではないでしょうか。

逆に言えば、ジョコウィ氏は首都移転を本気で実現しようと考えてるとも言えますが…..

おそらく二期目が確定したら、すぐにでも取り掛かりたい緊急事案として首都移転計画を位置づけているのでしょうね。

引き続きインフラ投資は続くのか?

バス車内の弾き語りが、「5年間、物価は上がり続け、庶民の生活は苦しくなるばかり」としばしば歌っていますが、インドネシアローカルの庶民感覚が表れていますね。

そこに莫大な資金を投じてまで首都を移転することに、反対意見がたくさんあるのを個人的に日々耳にします。

とはいえ、三期目はないジョコウィ氏ですから、国民が何と言おうと、引き続きインフラ整備を推し進めていくことでしょう。

新政策というより一期目の政策を、未達のものを含めすすめられるはずです。

もちろん、経済成長している今だからこそ出来る政策ということもあるわけで、そういう意味ではインフラ整備に注力することは今のインドネシアには一番必要なことでしょう。

まとめ

いかがでしたか。

今回は、

インドネシアの首都移転先はカリマンタンなのか、そしてジャカルタから首都移転する理由と候補地など2019年6月現在の状況について見てきました。

現地では、首都がジャカルタから移転してもまだまだ先の話しだろうという冷ややかな声もあるものの、2024年までに首都移転計画は本格的に動き出しているだろうと個人的に思います。

一方、

今回のインドネシアの首都移転は単にジャカルタへの一極集中を打開して地方分権を進めるという「お題目」的意味合いだけでなく、文化的な転換点にもなるのではと思います。

圧倒的多数のインドネシア人が思う心のふるさとは、

ジャワ

だからです。

この精神的支柱である「ジャワ」から物理的に離れることは何を意味するのでしょうか?

ジャワ島とジャワ以外の島々は文化がまったく異なります。

今回の選挙でジョコウィドド大統領は、ジャワ島以外の宗教的マイノリティ層の圧倒的支持をうけて当選しました。

インドネシア建国のときに提唱された国是「多様性の中の統一」は今実現されているとはいえません。

宗教・民族への寛容性はあるものの、これまでインドネシアの政治を動かしてきたのは圧倒的多数のムスリム(イスラム教徒)です。

パンチャシラ(国家五原則)の日が祝日になったのも記憶に新しいところですが、ジョコウィ大統領が目指す「真のインドネシア」実現のためにも首都移転計画がうまく進めばと感じた今日この頃でした。

Sampai jumpa lagi.

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