こんにちは、アジアン乗り鉄ティンギーです。
新型コロナウイルス(COVID-19)感染拡大に伴う「大規模な社会的制限」(PSBB)が開始されて1か月が経過しました。
「大規模な社会的制限」(PSBB)は当初4月10日から2週間程度と言われていましたが、5月22日まで延長されます。
この動きはジャカルタ及びジャカルタ首都圏を形成するボゴール、デポック、ブカシ、タンゲラン、南タンゲラン等の地方自治体をはじめ全インドネシアに広がりつつあります。
PSBBはあくまでも外出自粛を促す政令にすぎず抜本的対策にはならないので、5月上旬でインドネシアの新型コロナウイルス感染者数は1万2千人を超えています。
そして、多くの人々が危惧するのは国内で2000万人が大移動をする断食明けの帰省(レバラン)です。
レバラン食い止め、感染者数拡大を封じることが出来るのか、政府の対策は山場を迎えています。
コロナウイルス渦中の2020年ラマダンのジャカルタの様子を動画でまとめています!
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というわけで今回は、
コロナウイルスでラマダンの断食期間とインドネシアの規制内容を解説しながら、2020年ラマダン明け休暇の移動制限・帰省禁止についてお話しします。
Contents
コロナウイルスで2020年のインドネシアのラマダンの影響は
今年もラマダンと呼ばれる断食月がやってきました。
- 2020年のラマダン期間は4月24日から5月23日までの約1か月間
- 5月24日、25日がイドゥルフィトリと呼ばれる断食明けの祝日
です。
すでに断食が始まり2週間が経過しましたが、ラマダン・イドゥルフィトリの期間はカレンダー通りです。
ラマダン期間中は
朝4時半から午後5時50分ころ
まで飲食は原則的にできません。
夕方5時50分の断食明けのブカプアサでは家族が居間に集まって食事するという密集状態もいつも通りです。
一部の医療関係者は免疫力が低下する断食はやるべきでないと言いますが、断食をするかしないは個人の自由です。
しかしコロナ対策を理由に断食をしない人は聞いたことがありません。
もちろん、コロナに感染した、あるいは感染の疑いのある人は断食をする必要はありません。
もっとも、私はコロナウイルスの有無にかかわらず腹が減ったら飯は食いますけどね。
ただ例年とちがうのはPSBB期間中に飲食店での飲食が禁止されていることです。
いつもなら夕方のブカプアサがラマダン中の飲食店のかき入れどきですが、今年はひっそりとしています。
例年は断食期間中も飲食店は日中の営業を続けていました。
今年はブカプアサ前に外でこっそり食べる場所もなくなったというわけです。
デリバリーに活路を見出すお店もありますが完全に閉鎖した店も多いです。
飲食業を中心にたくさんの人が職を失っているので、ジャカルタ市内の治安悪化を懸念する声もあります。
コロナウイルスの影響でモスクでの礼拝禁止は?
よく誤解されますが、モスクでの礼拝は宗教上の事柄なので禁止されていません。
ただし、集団礼拝は禁止されています。
毎週金曜日に行われる昼の礼拝では、宣教師の説法を聞きに多くの人がモスクに集まり、夕方6時の礼拝は一日で一番重要な礼拝なのでモスクに多くの人が集まります。
PSBB期間中はコロナウイルスの感染予防のため集団礼拝は行わないよう各モスクに通達が出されています。
礼拝時刻のアザーンは毎回担当者が肉声で放送するので、モスクの扉はいつも開かれています。
個人的にモスクで礼拝するのは問題ありません。
断食明けのモスクでは、通常、食べ物が提供されるので多くの人が集まります。
ただ近所のモスクを見た限りだと、今年はそれも自粛ムードになっていますね。
とはいえ夕方の礼拝は大切なので、自主的にモスクで礼拝をする人はかなりいて確認したところ20人くらい個別でお祈りしていました。
放送担当などをしている地域のイマームかもしれませんが。
断食明けのレバランの祭り・休暇
ジャカルタの治安維持の観点で問題は、ラマダンよりもラマダン明けのレバランです。
レバランは日本のお盆のようなものなので、ジャカルタからジョグジャカルタなど故郷へ多くの人が帰省します。
なのでレバラン中のガラ空きの道路は、ジャカルタの風物詩でもあります。
インドネシアだけでなくイスラム教徒が多い国が抱える共通の課題ですが、2020年はコロナウイルスの影響でレバラン期間中の帰省を全面禁止している国が多いです。
この点でもインドネシアははっきりした対応ができず方針が二転三転しています。
当初はレバラン帰省も自粛願いのみで、禁止と言う表現を回避してきました。
物理的に帰省を抑制するため、イドゥルフィトリの祝日のあとの数日間の休暇取得奨励日(国民の休日のようなもの)を廃止して、コロナ終息後に改めて帰省期間を設ける(時期は未定)らしいです。
ジャカルタで職を失っている人も増えているので、国民感情を高ぶらせたくないというインドネシア政府の思惑が見え隠れします。
なんだか日本政府のグダグダなコロナ対策に似ていると感じたのはわたしだけでしょうか。
ラマダン時期の帰省禁止の内容(範囲・時期)
そんな中、4月23日に突如インドネシアの陸海空の全ての旅客輸送の停止が発表されました。
ラマダン時期に合わせて前倒しで帰省する人の移動を制限するための苦肉の策と言えるでしょう。
発表されたのは夕方で、レバラン明けまですべての交通機関が止まると言うことでした。
しかも、当初は24日からの国際線フライトも対象なので日本大使館も大慌ての様相でしたが、その後日本を含む一部の国際線の運航は継続されることが確認されています。
マイカーによる移動も制限され、主要高速道路・国道のチェックポイントでインドネシア警察が常時検問をしていて正当な理由がなければUターンか罰則が与えられます。
ただし、これはロックダウンとはちがい規制などの長距離の移動を制限するもので、ジャカルタ首都圏の電車、バスは引き続き運行を続けています。
ジャカルタ域内を出なければマイカーでの移動は問題ないというわけです。
しかし、この交通機関の停止もわずか1週間で覆されることになります。
交通関係の政策を決めるインドネシア運輸省では、ブディカルヤ運輸相自身がコロナウイルスに感染し、1か月ほど休職していました。
5月に運輸大臣が復職したとき、休職中に運輸相代行が決めた決定を撤回したのです。
今こそコロナ対策に集中しなければならないときに、この呑気な運輸省の決定にはジャカルタからのコロナウイルス流入を心配する地方自治体から不満の声があがっています。
人が変わればすべて変わるのがインドネシアあるあるなので….
発表によれば5月7日から鉄道、航空、バス、船などすべての交通機関に営業を許可して運行準備ができたら再開する予定です。
建前上ジャカルタから地方への帰省は認められていないものの、高速道路の出入り口の検問も形だけで下道を通れば帰省できるのが現状です。
コロナウイルス渦中の2020年ラマダンのジャカルタの様子を動画でまとめています!
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ジャカルタからジャボデタベック域外への車両通行禁止
PSBBは完全ロックダウンでないグレーゾーンのかたまりのような仕組みなので、ここで注意事項をまとめておきます。
在留邦人にとって、一番の問題は車での移動です。
ジャカルタ市内の車の移動は
- 乗車定員50%以下での運行
- 助手席の不使用
- マスク着用を徹底
を守れば問題ありませんが、「域外」に出るときはさらに注意しなければなりません。
この域外がジャカルタ域外なのかジャボデタベック域外を指すのか不明確で、周辺の自治体の裁量に任されています。
基本的にはジャボデタベック域外には出れないということですが、私のこれまでの経験からすると、タンゲラン方面の高速道路の入り口で検問を非常に厳しくやっているなという印象です。
ただ、検問をしているだけで、どのような基準で取り締まりを行っているのはわかりません。
市内を歩いている人に対しても、明らかに人を選んで捕まえているとしか思えない対応です。
何度か軍のパトロールカーに遭遇しましたが、インフォーマルセクターの人間を集中的に取り締まっている感じです。
ニュースでも営業を許可されている生活用品店が一斉摘発されているのを見ると、もはや何でもありな感じです。
今のジャカルタは外出は自由にできるものの自己責任の意識を持って行動する必要があると言えるでしょう。
まとめ
インドネシアのコロナウイルス対策最初期の「緊急対策フェーズ」での在宅勤務開始から早くも2か月がたとうとしています。
ジャカルタ市民もこのコロナ自粛に飽き飽きしてくる頃で、気のゆるみが目立ち始めています。
一時期、閑散としていたスディルマン通りもなんだか元通りになってきてるし、市中心部に行けないので郊外のスーパーマーケットは連日土日のように賑やかです。
とにかく人が多いインドネシアなので、ソーシャルディスタンスを頼りにしたコロナウイルス感染対策は限界といえます。
インドネシア政府はおっとり構えていますが、今後のコロナウイルスのさらなる感染爆発で、軍や自警団が勝手な動きをしないかそれが一番心配な今日このごろです。
コロナウイルス渦中の2020年ラマダンのジャカルタの様子を動画でまとめています!
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